1曲目の「枯葉」を聴いてください。アルトサックスのキャノンボール・アダレイ、トランペットのマイルス・デイヴィス、ピアノのハンク・ジョーンズがアドリブソロを演奏します。タイミングを合わせるのが少しむつかしいですが、「枯葉」のメロディをいっしょに歌いながら聴くことができます。元のメロディとアドリブソロは同じコード進行に基づくメロディですから、要するに“ハモれる”わけですね。
とくに4分20秒からのマイルス・ディヴィスのアドリブソロを聴いてください。彼の得意技である「ミュート・プレイ」が聴けます。「ミュート」というのは本来「弱音器」ですが、彼ほどミュートを効果的に使ったトランぺッターは他にいません。
ごぞんじだと思いますが、「枯葉」はもともとシャンソンです。したがって歌詞があり、「枯葉」というタイトルとメロディから想像される世界と歌詞はよく一致しています。マイルスの哀しさと鋭さの共存した音が、そんな「枯葉」の世界を広げ深めています。「感情移入」できるアドリブソロの代表例と言っていいでしょう。
さてもうひとつ、まったく異なる「枯葉」を聴いてみましょう。
|