ジャズの扉を叩こう!
−ジャズという素晴らしい音楽 入門編−


第3回
BY 公子王孫
アドリブソロ その3

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[2] ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビー』(1961年)
Bill Evans “Waltz for Debby” (Riverside)


ビル・エヴァンス (p)
スコット・ラファロ (b)
ポール・モチアン (ds)

1961年6月25日録音
1. マイ・フーリッシュ・ハート
2. ワルツ・フォー・デビイ
3. デトゥアー・アヘッド
4. マイ・ロマンス
5. サム・アザー・タイム
6. マイルストーンズ


 ビル・エヴァンスというピアニストのアルバムです。これも『サキソフォン・コロッサス』と並んで人気投票の上位に必ず入るアルバムです。
 編成は「ピアノトリオ」です。前回お話しした「リズムセクション(ピアノ+ベース+ドラムス)」が独立してグループをつくっています。
 ビル・エヴァンスは、入門者にとって最も入りやすいミュージシャンだと思います。僕自身がそうでした。ジャズは難しいけど、この人なら聴けるかも、と思って聴き始めました。しかしその後、すごいピアニストであることがわかりました。(ただしそのすごさは、そのままビル・エヴァンスだけに留まっていたらわからないというところがまた、ジャズの面白さです。)

 タイトル曲の「ワルツ・フォー・デビー」を聴いてみましょう。これはエヴァンス自身の作曲ですが、後にスタンダード化しています。デビーというのは、エヴァンスの姪っ子だそうですが、その愛らしさが目に浮かぶメロディです。
 2分7秒辺りからアドリブに入ります。原曲のメロディの世界を引き継いでいますが、僕には、アドリブソロのメロディの方が「真剣」に聴こえます。少し成長した姪っ子の、お父さんお母さんにはしにくい話を聞いてあげているような。
 この人がどんなにすごいジャズピアニストであっても、「ワルツ・フォー・デビー」をにこにこしながら聴くことをためらう必要はありません。僕はこの演奏を何度聴いたかわかりませんが、今でもそうなってしまいます。

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